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方向性を明らかにすることである。
全体最適を求めるロジスティクスは、現代の企業にとってますます重要になっている。
その理由として次のような点があげられる。
に、経営の効率化を追求するために、全体最適を実現しようとするロジスティクスが不可欠になる。
メーカーであれ、卸売業者であれ、小売業者であれ、多くの企業は事業活動において物流機能を必要としている。
ところが、従来比較的等閑視されてきた物流分野は、企業改革の余地が多く残されている。
特に、深刻な不況に直面している現代の企業は、ロジスティクスを志向することによって、売上高低迷に対応して一方で物流コスト削減をはかり、他方で競争相手に対して物流サービスの差異化をはかり、市場における競争優位を追求していかなければならない。
経済のグローバル化に伴う企業対応として、ロジスティクスが重要となっている。
いまや現代の企業は国境を越えたグローバルな事業展開が必要不可欠となっている。
例えば、東南アジアや中国での安価な労働力を求めて現地生産をし、部品供給の海外のネットワークが形成されて海外での加工組立が行われるが、企業活動の国境を越えた面的な広がりは、当然企業の物流に大きな負荷と新たな仕組みを求めている。
そこには地球的規模での全体最適を求めるグローバル・ロジスティクスを必要としているのである。
国内であれ、グローバルな展開であれ、このような企業が事業活動を展開するには、物流分野におけるパートナーの存在が重要な役割を演じる。
現代の企業に求められている重要な経営課題は、できるだけ必要な資本を削減して、利潤を増大することである。
資本を削減するためには、アウトソーシング(外部委託)が必要不可欠となる。
その受け皿として重要な役割を担うのが物流企業であり、ロジステイクス・サービス・プロバイダーと呼ばれる存在である。
サードパーティ・ロジステイクス(3PL)に代表される物流企業は、一般企業のロジスティクスの実践を現場で支えており、その重要性を増しつつある。
現代社会では物流活動に伴う外部性の発生が顕在化しており、現代の企業はこれに対する対応を否応なしに求められている。
企業におけるロジスティクスは、こうした物流の外部性を緩和し、解決する方向性を示すことが求められている。
その具体的な事例が、地球温暖化や大気汚染などの環境問題の深刻化であり、これには企業の物流活動が密接不可分に関係しており、このため環境に優しいロジスティクスなどの対応が企業に求められている。
現代の企業におけるロジスティクスの具体的な展開は章以降で論じるが、その前にロジスティクスの基礎的な考え方を最初に把握しておくことが必要となる。
この分野では、物的流通、物流、ロジスティクス、さらにはサプライチェーン・マネジメントと、比較的短期間に新しい用語が次々と打ち出され、ロジスティクスに関連する概念や考え方が発展をとげてきた。
そこでここでは、ロジスティクスに関連するこれらの概念や考え方が、どのように生まれ、なぜ普及するようになったのか、その発展過程を歴史的に振り返り、整理してみることにする。
最近では経営戦略論の一環としてロジスティクス戦略論が提起されており、この点も明らかにする。
一般に物流という言葉がよく使われる。
たとえば、物流システム、物流管理、物流業者、物流業界、物流政策などである。
物流という用語の使用は意外と歴史は浅く、その用語自体比較的最近に作られたものである。
物流の語源は英語のphysical distributionにある。
この言葉はアメリカで生まれ、第二次世界大戦後アメリカ経済が成長する過程で急速に普及するようになった。
アメリカ経済の成長を担う企業活動の新たな領域を統括する概念として定着していったのである。
わが国では、経済発展の基盤が確立した高度経済成長期にかけて、欧米先進国から進んだ技術や管理のノウハウが積極的に導入された。
物流という概念もその1つであった。
1956年にアメリカの流通事情を調査する視察団がphysical distributionという用語を持ち帰り、物流の語源となった。
これは当初直訳調に「物的流通」と訳されていたが、やがて短縮されて「物流」と呼ばれるようになった)。
物流という用語は輸送のことと誤解されやすい。
この概念を正しく知るためには、縮める前の「物的流通」のほうが分かりやすい。
この用語が示すように基本は流通である。
つまり、買い手と売り手がいて、商品の売買(商取引)が行われ、その結果、売り手から買い手に所有権が移転する。
こうした過程を流通とすれば、その「物的」な側面ということになる。
もう少し具体的に述べると、売買が行われて所有権が移転することは、その商品が売り手から買い手に物理的に移動することが必要となる。
これを充足するのが輸送である。
売り手は買い手から注文があると、すぐ納められるようにある程度商品を蓄えておく。
保管である。
保管したものを輸送機関に積載し、その逆も必要となる。
こうした行為が荷役(にやく)である。
その他、商品の受発注に関する情報、出荷する商品を包装することや、顧客の要望に合わせて商品を加工する流通加工も必要となる。
商品が流通するためには、売買それ自体の商取引以外に、こうした商品を移動したり蓄えたり、手を加えたりする「物的」な活動が必要となる。
物流である。
したがって、物流とは、一般に輸送、保管、荷役、包装、流通加工、情報の6つの機能が包含されている。
実際に、モノを扱う企業が事業活動を展開するということは、こうした機能を充足していることを意味する。
ここで説明したのは企業の販売にかかわる物流だが、こうした企業のモノの移動にかかわることは販売だけではない。
メーカーであれば、生産の前の段階で部品や原料を調達する必要があり、それもまた物流の機能を必要とする。
これが調達物流である。
この調達物流はメーカーに限ることなく、卸売業者や小売業者などの流通業者も売る商品を揃えるために必要となる。
また製造する過程でも工場内のモノの管理、工場間の移動などが生じる。
製造物流、工場物流、社内物流と呼ばれている。
このように企業活動は、メーカーを典型とすると、調達物流、製造物流、販売物流から成り立っている。
物流という概念は、企業のモノにかかわる一定の活動領域を1つにまとめ上げたものである。
問題は企業がこれをどのように効率よく管理するかである。
やがて物流に代わってロジスティクスという言葉が使われ始める。
アメリカでは、1980年代にphysical distributionに代わるものとしてlogisticsが普及する。
こうした変化を端的に示すのが、物流関係の全国組織である全米物流管理協議会のロジスティクス管理協議会(Council of Logistics Management:CLM)への改名である。
1987年であった。
こうしたアメリカにおける変化は一定のタイムラグをもちながら、わが国でも生じていった。
またもやアメリカから輸入された概念が、わが国で普及しはじめることになる。
Nがバブルの絶頂期を迎える1990年頃である。
この時期に日本の企業は物流の問題で大いに頭を悩ませていた。
労働力不足が深刻になりドライバーが不足した。
その賃金が上昇し、運賃の値上げに跳ね返り、企業の物流コストが上昇した。
それだけでなく、製品の多品種化や、在庫を持たないために生じる多頻度小口化が進展した。
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